国や自治体は、住宅購入を支援するための補助金・助成金制度を充実させています。
しかし、補助金・助成金には条件もあり、決められた時期に求められる書類を提出しないと受けられるはずの支援を受けられなくなる可能性もあるため、気をつけなければなりません。
本記事では、静岡県内で住宅を購入する際に利用できる補助金・助成金を紹介し、申請時の注意点も解説します。
家づくりに関するお悩みを抱える方は、ぜひ読み進めてみてください。住宅購入の後押しになるはずです。
全国で使える住宅購入時の補助金・助成金
2023年(令和5年)現在、住宅購入時に利用できる国の補助金・助成金には以下のものがあります。
- こどもエコすまい支援事業
- ZEH補助金
- 地域型住宅グリーン化事業
- LCCM住宅整備推進事業
- 給湯省エネ事業
下記にて各種補助金・助成金について詳しく解説しますので、適切な情報を得て、賢くマイホーム購入を進めましょう。
こどもエコすまい支援事業(2023年9月29日申し込み受け付け終了)
こどもエコすまい支援事業は、ZEH(ゼッチ)レベル基準を満たす新築住宅と住宅リフォームを促進する補助金制度です。子育て世帯や若者夫婦世帯がZEHレベル新築住宅の支援対象になります。
ZEH(ゼッチ)とは?
ZEH(ゼッチ)とは「ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、断熱・省エネ・創エネの3要素において基準を満たし、使用エネルギーから創出エネルギーを差し引いた消費エネルギーがおおむねゼロ以下になる住宅。
こどもエコすまい支援事業の概要
- 新築住宅(ZEHレベル):省エネ性能に応じて60~100万円の補助金
- リフォーム住宅:工事内容に応じて5~60万円の補助金
- 申請期限:2023年12月31日まで
- 対象者:子育て世帯・若者夫婦世帯の新築、リフォーム
こどもエコすまい支援事業のメリット
- 省エネ住宅を建てられる
- 電気代やガス代を節約できる
- 環境に配慮した住環境を整えられる
新築住宅については、省エネ性能に応じて60万円~100万円、リフォームについては工事内容に応じて5万円〜60万円の補助金を受け取れます。
補助金の申請は「こどもエコすまい支援事業者」として登録されている施工・販売業者が代行します。申請期限は2023年12月31日までです。
ただし、交付額が予算上限に達したら期限前でも受付を終了する可能性があります。
省エネ住宅に住むことで、電気代やガス代の節約にもなります。
こどもエコすまい支援事業を活用して、賢く住まいづくりを進めましょう。
ZEH補助金(2025年1月7日申し込み受け付け終了)
ZEH補助金は、年間の消費エネルギー量がおおむねゼロ以下となる住宅(ZEH)を普及させるための補助金制度です。
住宅の高断熱化や太陽光発電設備の導入を通じて、使用するエネルギー量を削減する目的で設けられました。
ZEH補助金は新築住宅を建築・購入する個人も対象となります。補助を受けられるのは、以下の要件を満たす住宅です。
ZEH補助金の概要
- 対象住宅:エネルギー消費量を削減する住宅(ZEH)
- 補助金額:ZEHの場合は55万円、ZEH+の場合は100万円
- 申請方法:ZEHポータルサイト(https://kodatezeh.sii.or.jp/)にてユーザー登録の後、交付申請
- 申請期間:(一次公募)2023年11月10日締切、(二次公募)2023年11月20日~2024年1月9日
ZEH補助金のメリット
- 電気代やガス代を節約できる
- 住宅の資産価値を向上させられる
- 地球温暖化対策に貢献できる
- 住宅の断熱性能が高く快適に過ごせる
- 太陽光発電設備により災害時も安心
ZEH補助金の額は住宅の性能によって異なりますが、ZEHの場合は55万円、エネルギー消費量をさらに削減するZEH+の場合は100万円の補助金が支給されます。
また、蓄電池や再エネ利用技術などを導入することで追加補助が受けられる場合もあり、非常に充実した補助制度です。
ただし、前述のこどもエコすまい支援事業とは併用できません。
同じ建物を対象に複数の補助金を国から受け取ることはできないルールになっています。
ZEH補助金は、住宅の省エネ化と脱炭素化を推進するための重要な制度です。
ZEH補助金の利用により住宅の省エネ性能を向上させ、電気代やガス代の節約も図れます。
また、住宅の資産価値を向上させる効果も期待できるでしょう。
地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、地域内の木造住宅関連事業者が協力して「グループ」を形成し、省エネ性能や耐久性に優れた木造住宅の整備や三世代同居への対応を支援する制度です。
地域型住宅グリーン事業のグループに採択された事業者グループが建てた建物だけが補助の対象になります。
下記はグループとして供給に取り組むべき材料および加工になります。
- 原木供給(素材生産事業者・原木市場等)
- 製材・集成材製造・合板製造
- 建材流通(木材を扱う事業者)
- プレカット加工
- 設計
- 施工
- 木材を扱わない流通
- その他(畳、瓦、襖等の住宅資材の供給事業者)
地域型住宅グリーン化事業の申請期限は、2023年11月20日です。申請はグループ登録した施工業者が行います。
グループの採択時には適用申請書をもとに応募の要件への適合や各項目の記載内容等を確認するほか、過去のグループの対応なども判断基準になります。
2023年度は通常タイプとこどもエコ活用タイプがあり、省エネ性能に応じて最大140万円の補助金を受けられます。
なお、地域型住宅グリーン化事業については令和6年度に事業は実施されておりませんが、明確に終了したアナウンスはありません。
そのため、当事業を利用したい人は、定期的にホームページで動きを確認しておきましょう。
参考ページ:地域型住宅グリーン化事業(評価)
LCCM住宅整備推進事業(令和6年度住宅整備推進事業申し込み受け付け終了)
LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅整備推進事業は、2023年に新設された国土交通省の補助金制度です。
CO2の排出をマイナスにする低炭素住宅を支援する目的のもとに設けられました。
LCCM住宅とはZEH住宅よりもCO2削減を進めた住宅のことで、建築前から解体までを考慮してCO2削減を目指しています。
住宅の外皮性能、省エネ性能、CO2排出削減基準などをすべて満たす住宅を新築する場合、該当工事の費用の半分(最大140万円)が補助されます。
応募期間は1回目が2023年4月17日から9月29日で、2回目は10月中旬からの予定です。
LCCM住宅整備推進事業概要
- 対象住宅要件:外皮性能、省エネ性能、太陽光発電など
- 補助金:最大140万円
- 応募期間:2023年4月17日から9月29日、2023年10月中旬から2024年1月中旬
LCCM住宅は、高い性能により地球温暖化対策に貢献できるだけでなく、経済的にもメリットがあります。
給湯省エネ事業(2024年11月30日申し込み受け付け終了)
「給湯省エネ事業」は、2030年度のエネルギー需給目標達成に向けて展開されている取り組みです。高効率給湯器の導入を支援し、家庭の省エネを促進しています。
給湯省エネ事業概要
- 補助対象:ヒートポンプ給湯機、ハイブリッド給湯機、家庭用燃料電池
- 補助金額:5~15万円/台
- 補助対象:2022年11月8日から2023年12月31日の契約(早期終了の可能性あり)
- 申請期間:2023年3月下旬から同年末(早期終了の可能性あり)
ヒートポンプ給湯機、ハイブリッド給湯機、家庭用燃料電池が補助対象で、補助額は1台につき5万円または15万円です。
マンションは1住戸1台までが対象で、購入やリース契約で補助が受けられるほか、新築時だけでなくリフォーム時にも適用されます。
給湯省エネ事業を利用することで、高効率給湯器を導入する際にかかる費用を抑えられます。
そのうえ、高効率給湯器は従来の給湯器に比べて省エネ性能が高く、電気代やガス代の節約にもつながるでしょう。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業とは、ZEH水準を大きく上回る省エネ住宅である、GX志向型住宅の建築に関する事業です。
2050年の温暖化ガス排出の実質ゼロの実現に向けた施策であり、政府の脱炭素戦略が盛り込まれています。
国土交通省と環境省が管轄である党政策では、令和6年度補正予算案が2,250億円になります。
なお、GX志向型住宅とは下記すべてに適合する住宅を指します。
- 断熱等性能等級「6以上」
- 再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「35%以上」
- 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率「100%以上」
子育てグリーン住宅支援事業概要
- 対象者 :18歳未満の子を有する世帯(子育て世帯)、または夫婦のいずれかが39歳以下の世帯(若者夫婦世帯)
- 補助金額 :最大160万円
住宅省エネキャンペーンにおける3省連携
住宅省エネキャンペーンにおける3省連携とは、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて家庭部門の省エネを推進する施策です。
新築とリフォーム物件が対象であり、補助される工事内容は下記の通りです。
下記は住宅省エネキャンペーンにおける3省連携に関する概要です。
工事内容 |
対象事業 |
補助対象 |
補助額 |
|
省エネ改修 |
高断熱窓の設置 |
先進的窓リノベ2025事業 |
高性能の断熱窓 |
最大200万円/戸 |
高効率給湯器の設置 |
給湯省エネ2025事業 |
高効率給湯器 |
最大20万円/台 |
|
既存賃貸集合住宅におけるエコジョーズ等取替 |
賃貸集合給湯省エネ2025事業 |
エコジョーズ/エコフィール |
最大7万円/台 |
|
開口部・躯体等の省エネ改修工事 |
子育てグリーン住宅支援事業 |
既存住宅の省エネ改修 |
最大60万円/戸 |
|
その他のリフォーム工事 |
住宅の子育て対応改修など |
参考ページ:国土交通省ホームページ「住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案を閣議決定!国土交通省・経済産業省・環境省が連携して取り組みます!」
(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001846077.pdf)
静岡県による補助金・助成金
補助金には国からの支援のほかに、自治体からの支援もあります。
静岡県も住民の生活の質を向上させるために、独自の補助金・助成金を設けています。
新築住宅の建築・購入に関係するのは以下のようなものです。
- 住んでよし しずおか木の家推進事業
- しずおか木使い施設推進事業
- しずおか住宅ローン優遇制度
- 省エネ住宅新築等事業費補助金
ここからは、静岡県が提供する具体的な補助金・助成金をご紹介します。
住んでよし しずおか木の家推進事業(2024年12月16日令和6年度の申し込み受け付け終了)
「住んでよし しずおか木の家推進事業」は、静岡県産の木材を使用した木造住宅の建築やリフォームを支援する制度です。
この取り組みは、地域の木材利用促進とともに健全な住宅文化の形成を目指しています。
住んでよし しずおか木の家推進事業
- 補助対象:静岡県産木材を使った木造住宅の取得とリフォーム
- 補助要件:静岡県産木材の使用量や使用割合によって変わる
- 補助金額:最大30万円
- 募集期間:2023年4月1日から2024年2月22日
助成額は新築や増改築時の木材使用量と県産材の使用割合によります。
使用割合が50%以上の場合、1平方メートルあたり15,000円で最大30万円まで、使用割合が50%未満の場合は、1平方メートルあたり10,000円で最大20万円の助成です。
ほかにも、事業者や使用する木材に関する条件があります。
詳しくはハウスメーカーに尋ねるか展示場で質問してみてください。
しずおか木使い施設推進事業
しずおか木使い施設推進事業とは、静岡県産の高品質木材を使って新しく施設を建築するか、既存施設を木質化する場合に助成を受けられる制度です。
対象となる物件は店舗や社会福祉施設、賃貸アパート・マンション、モデルハウスなど多岐にわたります。
「しずおか優良木材等」は、しずおか優良木材認証審査会が認定した工場が生産した、品質・含水率・強度などの検査に合格した木材を指します。
また、静岡県産JAS・JIS製品も含まれており、これらの高品質な木材を使用して家屋を建てることが目的です。
なお、当事業を利用する際は、しずおか優良木材等を2平方センチメートル以上、森林認証材を20%以上使用することが条件となっています。
しずおか木使い施設推進事業概要
- 助成対象:静岡県の高品質な木材を使った木造施設の新築・増築
- 助成額:最大30万円
- 募集期間:2023年4月1日から2024年2月22日
- 申請方法:静岡県HPから申請書をダウンロードし、必要書類を添えて申請
助成対象は木造施設の新築または増改築です。助成額は使われる木材の量に応じて変わり、1平方メートルあたり15,000円で最大30万円、施設の木質化の場合は仕上材の面積に応じて1平方メートルあたり3,500円、最大14万円となっています。
- 「住んでよし しずおか木の家推進事業」との併用はできません。
この制度を利用すれば、静岡県産の良質な木材を使った施設の建築や木質化が費用を抑えて行えます。
また、木材は断熱性や耐震性に優れており、省エネや災害対策にも効果的です。
しずおか住宅ローン優遇制度
静岡県は住民の住宅取得、住宅の耐震化、静岡県産優良木材の普及を支援するため、住宅ローン優遇制度を実施しています。
県内の金融機関で住宅ローン金利の優遇や手数料の割引といった優遇を受けられることがあります。
平成18年4月より実施している当政策は、耐震性の低い木造住宅の耐震化の促進も目的に含まれています。
要約すると、静岡県産の良質な木材で、住み心地や耐震性の安全性が高い家を建てる際に補助する制度といえます。
しずおか住宅ローン優遇制度概要
- 対象住宅:下記参照
- TOUKAI-0型:静岡県内の昭和56年5月以前に建築された木造住宅で、耐震評点0未満のものを建替える
- しずおか木の家型:静岡県内に「しずおか優良木材」などを住宅全体の50%以上使用した木造住宅を新築、購入する
- 住宅性能表示型:県内に新たに設計住宅性能評価を取得して住宅を建設する、または取得している住宅を購入する方
- 長期優良住宅型:静岡県内に長期優良住宅建築等計画の認定を受けた住宅を建設する、または認定を受けている住宅を購入する
- 定期借地型:県内に借地借家法に基づく一般定期借地権を利用した住宅を建設、購入する
- リフォーム型:県内で既存住宅(耐震性有)のリフォームを行う
- 優遇措置:住宅ローン金利優遇、事務手数料の割引
この制度を利用することで、高性能の住宅を取得できるうえに、購入や改修にかかる費用も抑えられるでしょう。
省エネ住宅新築等事業費補助金(2024年11月28日申し込み受け付け終了)
静岡県の「省エネ住宅新築等事業費補助金」は、高い省エネ性能を備えた住宅の新築・購入を支援する制度です。エネルギー効率の向上と持続可能な住宅づくりを奨励する目的で始まりました。
省エネ住宅新築等事業費補助金概要
- 補助対象:中小工務店施工によるZEH基準を満たす一戸建て住宅
- 対象世帯:子育て世帯・若者夫婦世帯以外の世帯
- 補助金額:定額40万円、優良木材の使用量に応じて加算
- 申請期間:2023年5月15日から11月30日
この制度は、中小工務店が施工し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の省エネ性能を持つ一戸建て住宅が対象となります。
補助額は基本的に定額で40万円ですが、しずおか優良木材の使用量に応じて加算されます。
補助対象となるのは、「こどもエコすまい支援事業」で対象外となっている世帯です。
「こどもエコすまい支援事業」の対象外になっている人にとっては、ぜひ利用したい貴重な支援制度といえるでしょう。
市町ごとの公的助成制度もある!
静岡県内には県が提供する補助金以外にも、市町ごとに実施されている補助金・助成金があります。
詳細は各自治体の公式サイトで確認できます。
なお、県内市町の公的助成制度を調べるときは、補助金制度をまとめたポータルサイトの利用がおすすめです。
SBSマイホームセンターが運営するサイトでは、静岡県内の市町の補助金制度を一覧で確認できます。
また、「○○市 新築住宅 補助金」といったワードでWeb検索すれば、その自治体の制度情報が見つかります。
SBSマイホームセンター 静岡県助成制度
https://www.sbs-mhc.co.jp/info/grant_seach/
補助金・助成金を申請する際の注意点
住宅購入に関する補助金・助成金は、住宅取得の金銭的補助をしてくれる制度です。
しかし、申請にはいくつかの注意点があります。
注意点を知らないと、補助金・助成金の支給を受けられない可能性がありますので、必ず確認しておきましょう。
申請期間
補助金や給付金は、受付や申請の期間が設定され、受け取りの期限も設けられています。
申請期間を過ぎると、申請は受け付けてもらえず、補助金や助成金も受けられなくなります。
また、申請期間に余裕があっても、申し込む人が多い場合は締切前に受付が終了することもあるので注意が必要です。
補助金・助成金を申請するときは、必要な書類を確認して、できるだけ早く揃えるようにしましょう。
補助対象者要件
補助金・助成金を申請する際は、適用要件に注意しましょう。
補助金・助成金を受け取るための条件は、細かく決められています。申請する前に必ず確認しましょう。
また、複数の補助金・助成金を申し込むときは、併用の可否に気をつけなければなりません。
例えば、東京都のゼロエミ住宅助成は「こどもエコすまい支援事業」と併用できますが、「ZEH+実証事業」とは併用できません。どの補助金・助成金が併用して申請できるか確認しておくと良いでしょう。
基本的には後払いである
多くの補助金は、工事が完了し、業者にお金を払った後に支払われる後払い制が採用されています。
そのため、どのような補助金・助成金制度を利用する場合でも、まずは自分のお金を用意しなければなりません。
制度を利用する人のなかには先にお金をもらえると勘違いしている人がいますが、頭金がなければ事業を進められないのです。
まとめ
本記事では、静岡県で住宅を購入・建築する方向けに、住宅に関する現行の補助金・助成金情報をご紹介しました。
各種補助金・助成金を活用すれば、省エネ性能や創エネ性能を備えた優良住宅を購入する経済的な負担が軽減します。
申請の要件や期間などに十分注意して、できるだけ支援を活用しましょう。
もし住宅購入や補助金・助成金のことで迷ったら、ぜひご相談ください。